今、あちこちの美術館が臨時休館の憂き目にあっています。新型コロナウィルスによる感染を広げないよう政府からの要請を受けての対応です。「不要不急」の対応を避けるために、ということで仕方ないなとは思いますが、世の中が窮屈に感じられるこんな時だからこそ必要なものとして美術館があったりするのではないのかな、とも思います。「不急」ではないかもしれないけど「不要」であるはずはないのです。私には、上野の美術館や博物館の張り紙すべてに「政府(東京都)の要請により、」と書かれているのが美術館からのせめてもの抵抗にみえます。
さて、世の中の動きはさておき、皆さんはいかがですか?毎日ニュースで流れる感染者の報告やガセネタに振り回される人たちの話題で不安を感じていたりしませんか?私自身も含めてそんな皆さんの不安を少しでも和らげる方法はないかな、と思って1つ紹介したいと思います。
■美術館に行かずに思考を開放する
学校や職場に行けなくて、オンラインで実現する様々な方法が提供されています。同様に美術館についてもインターネット上で鑑賞できるところが紹介されています。もともと作品のデジタル化も進んでいてオンラインで鑑賞することはできていましたが、今回の在宅推奨の流れを受けて、今の私の一番のお勧めをご紹介します。それはGoogleが提供する「Google Arts & Culture」です。
「Google Arts & Culture」は世界中の様々な作品を見られるだけでなく、
・その作品が美術館でどのように展示されているかストリートビューで確認できる
・類似する作品や色で絞り込んで時系列で眺める
・作品の拡大や詳細な解説がある
・現在地周辺の美術館を教えてくれる
・閲覧履歴からのお勧めや逆に知らない世界に導いてくれる
・お気に入りから自分専用ギャラリーを作ることができる
等々、新しい自分仕様のアート鑑賞方法を見出すことができます。
まずは何も考えずにヴァーチャルなアートの世界に浸ってみてください。できれば好きな音楽を聞きながら、できれば大きなモニタで。Googleなので翻訳がついているところも便利ですね。
■ヴァーチャルでも思考が解放できるか
難しいこと抜きで楽しんでもらえたらいいですし、その場合はこの先は読んでもらわなくていいのですが、心のどこかで「でも本物じゃないし」と抵抗感があったりするでしょうか?実は私もそう感じていたこともありますし、やっぱり本物を見たい、と拘っていた時もありました。でもヴァーチャルにはヴァーチャルなりの、ヴァーチャルでしかできない楽しみ方があります。
例えば美術館に行くということは、誰かが企画してセレクトした世界観を感じに行く、ということになります。その世界観と、その中にある1枚の絵画に向き合ってそこから感じる体験も素敵ですが、膨大にあるヴァーチャルな世界で自分だけの世界観を創ることで、まず自分は何が好きかを発見することができます。これって結構すごいことです。人が作った空間にお邪魔すると多少の遠慮が出てしまいますが、完全に自分らしく過ごせる自分の空間を作ってしまえるのですから。
また、1枚の絵画と対峙、といっても現実には人気の美術展だと大勢の人がいてゆっくり対峙できないこともあり、「有名な絵を観た」だけで終わってしまうこともありますが、ヴァーチャルな世界だとトコトン眺めることも、画家について深掘りすることもその画家の描いた他の絵画を観ることも、絵画そのものを拡大することもでき、自分にしかできない鑑賞ができます。
更に、今後はVR化が進めば、自分があたかも海外の行ってみたい美術館の中で目の前で観られる世界も遠くはないと思います。ということで、ヴァーチャルの良いところを挙げてみました。
・人が選んだ(企画した)絵画ではなく本当に自分が好きなものを見つけられる
・気に入った絵画や画家について、自分なりの鑑賞と謎を探求することができる
・その絵が他の絵と共にどこにどのように飾られているか普段の姿を知ることができる
あ、それと、多くの絵画は無料で見ることができます。これは大きいですね(笑)。
このようにヴァーチャルな絵画鑑賞でも、「他の何ものにもとらわれない貴方自身の想い」を創り上げることができ、それに対する没入感もすごいのです。いきなり美術館に行ってもどう鑑賞していいか分からない人ほど、まずヴァーチャルで色々と仮想体験で好きなものを見つけて、その後で本物を見に美術館に出かけるというのもとても良いと思います。
是非、お試しください。貴方の世界と思考が広がりますように。