思考の4象限

■デザイン思考への違和感

私がアート思考について考えるきっかけになったお話をしましょう。

「デザイン思考」が流行った頃、私も色々なデザイン思考の手法を学んできました。そしてそれはモノづくりにおいて、ユーザ視点でモノを考えて問題解決に対して「どうしたら?」を深掘りするため、それをメソッドとして学べたことは大変役にたちました。ビジネスにおいて、デザイン思考は非常に有効なのです。

でも、一番最初にしっかりと考えるべき「どうして?」という視点の深掘りが足りなく満足のいかない結果が出たこともたくさんありました。

クライアントから「これが欲しい」と言われた時、いかに効果的にその要望を満たすかに集中し、クライアントがなぜそれを欲しいのか、本当に欲しいものはそれなのか、ということを深く考えることをしなかったため、要望どおりのことを満たしてもなんとなく満足感のない思いをしたことが何度となくありました。

■美術鑑賞への違和感

他方、趣味で美術館に行くことが多かったのですが、鑑賞の仕方に疑問を持っていました。有名な画家の絵が企画展でやっているから、という理由で行くと、その一番有名な絵だけを見て満足していました。しかも人気の絵画は行列ができて数秒だけ眺めてすぐ通り過ぎてしまうわけです。美術館を出た後は何も残りません。これが「絵画鑑賞」なのでしょうか。

「考えるより感じろ」という言葉もありますが、何をどう感じたらいいのかわからず、美術館から足が遠のいていた時期もありました。

■アート思考との出会い

アート思考という言葉をどこで最初に耳にしたのかは覚えていません。

どちらかというと、デザイン思考への違和感に対してどうしたら自分が納得するのか考え続け、美術館での絵をどう鑑賞していいのか考え続けていた時、どこかで「アート思考」という言葉を知り、最初の頃はまだピンとこなかったのですが、徐々にこれらが繋がり、私の中で形になってきました。

一度自分の中で形ができてしまうと、後は関連本(また紹介しますね)やインターネットなどで色々吸収して勉強しながら自分なりの整理と活用方法を見出すようになりました。

ただ、「アート思考」という言葉はバズワードです。まだまだ洗練された言葉ではなく、明確な定義はどこにもありません。

誰かが「アート思考とはこうだ」と主張しても「この人の中での定義はこうなんだなぁ」くらいに思って大丈夫です。なので、あなたが「アート思考とはこうだ」と定義してもいいのです。

そういう前提で、私の中では、

アート思考=他の何ものにもとらわれない自分自身の考え方

と定義し、これからもこの定義に基づいてお話をしていきますのでその点ご了承ください。

■自分がどんな思考が得意なのか

貴方はアート思考の持ち主ですか?そう問われても答えるのは難しいでしょう。アート思考を持っているかどうかについてYesやNoでの回答でもなく、また何点と点数を付けられるものでもありません。しかし他の思考と比べてどうかという比較で分析することはできます。

「アート思考」と比較する思考として、「デザイン思考」「エンジニアリング思考」「サイエンス思考」に分けて考えてみましょう。

『サイエンス思考』とは、自然の摂理について疑問をもち、それに対してどこまでも追求していく思考です。先人が知り得た事実を基に、更に深く誰もまだ知りえていない事実を探求していくものです。

『エンジニアリング思考』とは、与えられた課題に対して特定の分野における知識を活用して解決する思考です。解決するためのテクノロジーについて深く理解し、難問に立ち向かって解決をしていきます。

『デザイン思考』とは、相手の課題に対して満足してもらうための適切な解決策を提示する思考です。あらゆることの解決と整理方法を身につけ、相手の気持ちに寄り添って相手にとっての最適解を見出していきます。

『アート思考』とは、言葉で表現できない不安や疑問に対峙し、自分の持つ真の悩みを見出すための思考です。問いかける時間と問いかける方法を知り、自分自身の気持ちに向き合って表現をしていきます。

■自分の得意な思考を見つけましょう

ところで、自分がどんな思考が得意か知りたくないですか?ここでちょっと簡単なテストをしてみましょう。こちらのリンクから思考分析テストページに移動できます。

思考分析テストはこちら

テスト後、登録したメールアドレスに分析結果が返ってきます。

分析結果には、自己申告と診断結果の2つについて、それぞれ4つの思考の点数が返ってきます。

​その点数を以下のテンプレートに記載してみましょう。

さて、どの思考の点数が高かったですか?それは自分が思っていた点数と比べてどうでしたか?

■アート思考型は鍛えられる

「アート思考型」についての点数はいかがだったでしょうか。

どの思考も点数が高いから良い、もしくは低いから駄目というものではありません。それは貴方の特徴なのです。もしアート思考の点数が低くても、それは他の思考が得意だというだけです。

ただ、それでもアート思考に興味を持ち、アート思考を鍛えたい、と思ったら、その方法はたくさんあります。

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